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【デスクワークの腰痛解消】どこが硬い?セルフチェックでわかる部位別ストレッチ法

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【デスクワークの腰痛解消】どこが硬い?セルフチェックでわかる部位別ストレッチ法

執筆者 作業療法士 丹野愛

監修者 整形外科医師 森裕展

デスクワークによる腰痛に悩まされる方は少なくありません。座りっぱなしの姿勢は筋肉が硬くなり、血流が低下することで腰痛を引き起こすことがあるのです。1)また、痛みの誤った認知が腰痛を引き起こしているケースもみられます。

本記事では、デスクワークによる腰痛対策の一つとして、どこの筋肉が硬くなっているかをチェックする方法と、硬くなっている筋肉の部位別ストレッチ方法を紹介します。ストレッチ以外の対策方法もお伝えしますので、自分に合った方法でデスクワークによる腰痛を改善しましょう。

腰痛が起こる原因はどこ?硬い部位をセルフチェック

デスクワークで腰痛が起こる一つの原因として、筋肉が硬くなり、柔軟性が失われることが挙げられます。
腰痛予防には、腰や背中の筋肉(腰背筋)、お尻の筋肉(臀筋)、腹筋の柔軟性を保ち、疲労回復を図ることが重要です。1)
まずは、どの筋肉が硬くなっているかをチェックしてみましょう。

腰まわりの硬さのチェック方法

【方法】

  1. 1.立った姿勢から両膝を伸ばしたまま、両手を床に近づけます。(図1参照)
  2.  
  3. 2.手を伸ばしきったところの姿勢をチェックします。(図1参照)

【姿勢のタイプ】

タイプ①:腰のあたりはまっすぐで両手がつかない。(図1参照)

タイプ②:腰から背中にかけて均等に曲がっているのに両手がつかない。(図1参照)

タイプ③:両手は床につく。

図1 腰まわりの硬さのチェック方法と姿勢のタイプ

①は腰背部の硬さ②は臀部・大腿後面の硬さがみられます。
③は腰の柔軟性が保たれています。

 

【部位別】腰痛予防のストレッチ方法

デスクワークの隙間時間にも取り組みやすい、椅子に座ってできるストレッチ方法を「腰背部」「お尻・太ももの裏側」「背中・肩甲骨周囲」の部位別にご紹介します。

腰背部が硬い場合のストレッチ

腰まわりの硬さチェックで①の腰背部(腰・背中)に筋肉の硬さがみられる場合のストレッチ方法です。
腰部の筋肉である脊柱起立筋、腰方形筋のストレッチをお伝えします。

【脊柱起立筋のストレッチ】(図2参照)

椅子に座った状態で両手を床の方に伸ばし、体を前に倒していきます。
※息を吐きながら体を前に倒しましょう。
※2~3回行います。

図2 脊柱起立筋のストレッチ

【腰方形筋のストレッチ】(図3参照)

1.タオルを持ちながら両手を上に上げ、体を横に倒します。
2.横に倒した状態で5~10カウント数え、体を真ん中に戻します。
3.反対側に体を倒し、同じように横に倒した状態で5~10カウント数え、体側を伸ばします。
※タオルがないときは両手を組んで手のひらを天井に向けましょう。
※手を挙げるのが難しい場合は、両手を腰に沿えましょう。
※2~3回行います。

  1. 図3 腰方形筋のストレッチ

お尻・太ももの裏側が硬い場合のストレッチ

腰まわりの硬さチェックで②の臀筋、大腿部後面(お尻の筋肉・太ももの裏側の筋肉)の硬さがみられる場合のストレッチ方法です。
お尻と太もも裏側の筋肉として、大臀筋、ハムストリングスが挙げられます。

【大臀筋のストレッチ】(図4参照)

1. 片方の足首をもう片方の膝の上にのせます。
2. 体を前に倒し、10カウント数えます。
3. 体を元の位置に戻します。
※左右2~3回ずつ行います。
※体を前に倒しているときは息を吐きます。

図4 大臀筋のストレッチ

【ハムストリングスのストレッチ】(図5参照)

1. 膝を伸ばして片足を斜め前に伸ばします。
2. 前に出した足と同じ側の手で足のつま先を触り、5~10カウント数えます。
3. 体を元に戻します。
※左右2~3回ずつ行います。
※手でつま先を触っているときは息を吐きます。

図5 ハムストリングスのストレッチ

背中・肩甲骨周囲が硬い場合のストレッチ

背中の上の方の痛み、肩のこりなどがある場合は、背中の上部、肩甲骨周囲の筋肉の硬さがあると考えられます。
背中や肩甲骨周囲のストレッチは「背中が痛い!デスクワーク中のストレッチ方法」で動画付きで詳しく紹介していますのでご覧ください。

腹筋が硬い場合のストレッチ

腰痛予防には、腰や背中、お尻、太ももの裏側などの体の後ろ側(背面)の筋肉だけでなく、体の前面にある腹筋の柔軟性も必要だと言われています。1)
腹筋のストレッチはこちらで「おなか開きストレッチ」を動画付きでわかりやすく解説しています。ぜひ、チェックしてみてください。

 

ストレッチ以外の腰痛予防対策

デスクワークによる腰痛の要因には、長時間同じ姿勢をとり続けることやストレスなどの心理的要因も含まれます。2)

デスクワーク中に運動を取り入れる

座って過ごすことが多いと、腰痛のリスクが高まるという報告もあります。3)同じ姿勢をとり続けないために、デスクワーク中にも定期的に運動を取り入れるのがおすすめです。

椅子に座った状態で腰を前後・左右・回旋など、痛みのない範囲で動かしてみるのもよいでしょう。
こちらの記事でデスクワークの隙間時間に取り入れたい「高速足踏み」「内転筋膝伸ばし」「1㎝スクワット」を動画付きで詳しく解説しています。

また、「デスクワークによる腰痛対策。机や椅子の設定とリフレッシュ方法」でもデスクワーク中に動くための習慣をお伝えしています。

ストレスケアを行い、痛くない範囲を動かしてみる

心理的要因も腰痛をもたらすことがあります。たとえば、次のような例が考えられます。

①日常生活や仕事に関するストレスが強くかかっていると自律神経のバランスが乱れて腰痛などの痛みとなって現れている

②過去に急性の腰痛を経験し、痛みへの不安や恐怖から動くことを避け、筋力や体の柔軟性が低下して腰痛につながっている

③腰痛は治ることはないと考えている、いつも腰痛のことが頭にある
4)

①の場合は「ストレスの要因を回避する」「日々の中でリラックスできる方法を取り入れる」「ストレスを緩和する運動を行う」などの対策方法があります。

自律神経を整える運動についてはこちらの記事で詳しく説明していますのでご参照ください。

②、③の場合は「動いても痛くない」「動くのは怖くない」という認識が持てるように、「自律神経を整える運動」の中で紹介している取り組めそうな運動から始めてみましょう。

また、腰を回しながらどの方向に動かすときが怖い・痛いと感じるのかを自分で確認し、その方向と反対方向に何回か動かしてから、もう一度不安を感じる方向に動かしてみるなどして、少しずつ動かせる範囲を広げ、取り組める運動を増やしていきましょう。

 

デスクワークの隙間時間にストレッチを

デスクワークで腰痛がみられる場合、どの筋肉の硬さがみられるかをチェックし、硬い部位に応じたストレッチを行いましょう。ストレスや不安が腰痛の要因となる場合もあります。日々のストレスを緩和する方法を試すとともに、動かせる範囲・方向を徐々に広げ、運動の種類も増やしていきましょう。

腰痛予防のためのストレッチに取り組んでも、腰痛が変わらない、悪化したという場合やストレッチを行うのが不安という場合は、お近くの整形外科までご相談ください。

※腰痛がすでにあり、初めてストレッチに取り組む際には主治医に確認してから行うようにしてください。

 

執筆者

作業療法士 丹野 愛

監修者

 

参考

1)厚生労働省|職場における腰痛予防対策指針及び解説

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034et4-att/2r98520000034mtc_1.pdf

2)厚生労働省|社会福祉施設における 安全衛生対策マニュアル~腰痛対策とKY活動~

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/1911-1_2d_0001.pdf

3)HansHeneweer,LucVanhees,HSusanJ.PicavetPhysical activity and low back pain:a U-shaped relation? Pain.2009143(1-2):21-5

https://journals.lww.com/pain/abstract/2009/05000/physical_activity_and_low_back_pain__a_u_shaped.6.aspx

4)厚生労働省|職場における腰痛の効果的な治療法に関する研究

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/hojokin/dl/26_14020301-01_03.pdf