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自律神経を整える睡眠対策と適切な睡眠時間

睡眠・ストレス・鬱病

自律神経を整える睡眠対策と適切な睡眠時間

執筆者 作業療法士 丹野愛

監修者 整形外科医 森裕展

自律神経のバランスを保つ良質な睡眠は、毎日を快適に過ごすためには欠かせません。1日の中で自律神経の交感神経と副交感神経が活動と休息を切り替え、自然な入眠と睡眠が得られています。不規則な生活習慣や過度の疲労、ストレスがかかり続けると、自律神経が乱れて睡眠の質が低下しやすくなります。

本記事は自律神経と睡眠の関係、良質な睡眠をとるための具体的な対策や適切な睡眠時間について解説している記事です。心身をしっかりと休め、毎日を健康に過ごすために生活を整えていきましょう。

自律神経と睡眠の関係

睡眠は体内時計と自律神経が深く関係しています。体内時計は脳の視床下部にある視交叉上核を中心に機能しており、体内時計は24時間より約10分長い周期です。1),2)体内時計によって刻まれる概日リズムと地球の1日24時間との間でわずかに生じるズレは、毎朝光を浴びることでリセットされるといわれています。特に朝に強い光を浴びることが体内時計の調整には有効です。3)

また、睡眠は「睡眠欲求」と「覚醒力」のバランスによって調整されています。睡眠欲求は起きている時間が長いほど強まり、十分な睡眠によって軽減します。一方、覚醒力は日中に高まって活動的になり、就寝時刻が近づくにつれて低下し、眠気が促される仕組みです。4)

睡眠のメカニズムが適切に働くと日中は交感神経が優位になって活動状態が維持され、夜には副交感神経が優位になり、自然な眠りを促します。しかし、自律神経の働きが乱れて覚醒力と睡眠欲求のバランスが崩れると「就寝時刻が後ろにずれる」「日中に強い眠気が出る」などの影響がみられ、社会生活にも支障をきたす可能性があります。

睡眠リズムを整えるためには、起床時間を一定に保ち、朝に光を浴びる習慣が重要です。生活リズムを安定させることで自律神経のバランスが保たれ、心身の健康維持にもつながるでしょう。

関連記事:【医師監修】自律神経が乱れる原因とは?3つのストレス対策を解説

自律神経を整える睡眠対策

自律神経が整うと良質な睡眠が得られやすく、また睡眠のメカニズムが適切に働くと生活リズムが整い、自律神経も整いやすくなります。また睡眠を1日の生活サイクルの一部として捉えた生活面の対策を意識するとともに、快適な眠りにつきやすい寝室環境対策をとることが大切です。

良質な睡眠の要件と、生活面・寝室環境面の睡眠対策について説明します。

良質な睡眠とは

  • 良い睡眠とは次の3つの要件がそろう睡眠と表されています。
  • ・入眠するまでの時間が短い
  • ・途中起きることなく眠れる
  • ・快適に眠気なく目覚められる
  • 5)
  • 生活面の睡眠対策

  • 「朝に日光を浴びない」「朝食を食べない」生活は睡眠・覚醒リズムは後ろにずれて夜更かし、朝寝坊の悪循環を生みやすくなります。良質な睡眠を得るためには、1日のサイクルの中で身体活動、食生活や光などの習慣の改善が必要です。1日を通して対策すべきことをお伝えします。
  • ・起床後、日光を浴びる
  • 朝食をしっかり食べる
  • ・日中に週2回以上の有酸素運動と筋力トレーニング(寝る前2~4時間前までには終える)
  • ・1日のカフェインの摂取合計量は400mg(ドリップコーヒーカップ4杯分)までにし、夕方以降は控える
  • 寝る2時間前には照明やスマートフォン、タブレットなどの強いブルーライトは浴びないようにする
  • 寝る1~2時間前までに入浴して体を温める
  • 寝る前1時間は自分なりのリラックスタイムを確保する
  • ・寝る前の夜食・間食はしない
  • ・寝るための飲酒、大量の飲酒、毎日の飲酒は控える
  • 喫煙しない(電子タバコもニコチンが含まれるため同様)
  • 5)
  • 関連記事:運動不足も解消!自律神経を整える運動を紹介
  • 関連記事:自律神経の働きをサポートするウォーキング方法

寝室環境面の睡眠対策

  • 寝室環境は以下の温度・湿度・照明強度・音の調整を行いましょう。
  • ・寝室はできるだけ暗くする
  • ・寝室の温度は、夏は涼しく冬は暖かく維持する
  • ・睡眠中の騒音が気にならないよう窓やカーテンなどの防音対策をとる
  • リラックスできる寝具と寝衣で寝る
  • 5)

自律神経を整える適切な睡眠時間

  • 適した睡眠時間は年齢によって異なり、以下の目安時間が設けられています。
  • ・成人:6時間以上
  • ・小学生:9~12時間
  • ・中学生・高校生:8~10時間
  • ・高齢者:布団の上で過ごす時間は8時間まで
  • 5)
  •  また、適した睡眠時間は下記のように個人や季節によっても異なります
  • ・適した睡眠時間は個人差が大きいため、ぐっすり眠れたという質の良い睡眠が得られる時間を優先する
  • ・冬は夏に比べて約10~40分睡眠時間が長くなる
  • ・夏はほかの季節に比べて平均睡眠時間が短くなる
  • 5)
  • 適切な睡眠時間を確保するために

  • 自分に合った睡眠時間を把握するために、睡眠状態を可視化できる睡眠計などを活用するのも一つの方法でしょう。良質な睡眠時間を確保できるように起床時間から逆算して就寝時間を設定し、毎日の生活リズムを整えていきましょう。

    勤務時間帯が不規則な場合などで、退勤から次の出勤までの時間が12時間未満だと睡眠の質の低下や疲労感やストレスが増大しやすいという報告があります。6)睡眠の時間帯が日によって大きくずれることのないような生活スケジュールの工夫も取り入れて十分な睡眠がとれるようにしていきましょう。

  • 自律神経を整える睡眠対策をしても休養感が得られない場合は相談を

  • 寝室環境面、生活面の対策をとっても「なかなか寝付けない」「途中で何度も起きてしまう」「ぐっすり眠れた感じがしない、休めた感じが得られない」場合は、閉塞性睡眠時無呼吸やむずむず脚症候群、うつ病などの病気の影響も考えられます。

    睡眠障害があると、日中の耐え難い眠気や集中力の低下により、事故やケガ、パフォーマンスの低下など、社会生活にも悪影響をおよぼすので、主治医への相談や睡眠外来の受診を検討しましょう。

執筆者

作業療法士 丹野 愛

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