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デスクワークによる腰痛を軽減するための筋トレ8選

全てのセルフケア

デスクワークによる腰痛を軽減するための筋トレ8選デスクワーク 腰痛 筋トレ執筆者 作業療法士 丹野愛

監修者 整形外科医師 森裕展

 

「筋トレは腰痛対策になるの?」「ストレッチと筋トレどっちが腰痛にいいの?」と疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

 

本記事では「腰痛が軽減された」もしくは「腰痛と深い関係のある筋肉を鍛えられる」筋トレ5つを選りすぐってご紹介しています。

 

筋トレする時間をなかなか取れないという人にも取り組んでいただきやすい「ながら」で行える筋トレ3選も取り上げましたので、日々、デスクワークが続き、腰痛を感じている方はこの記事を参考に、筋トレで腰に負担のかかりにくいからだをつくっていきましょう。                                                       

 

デスクワークによる腰痛に筋トレは必要?

デスクワーク腰痛

デスクワークによる腰痛が起こる背景には「姿勢によって腰部にかかる過度の負担」「デスクワークをしている環境」「個人の年齢・性・筋力・既往歴・精神的ストレス」の3つの要因が複雑に関係し合っています。1)

 

痛みに関わるストレスや自律神経についてはこちらで詳しく説明しています

腰痛対策には、腰に負担がかからない姿勢をキープするための筋力、そして、身体にかかる負荷から腰を守るための筋力は欠かせない要素です。

 

まずは、デスクワーク時に腰に負担がかかりにくい姿勢が取れているかをチェックし、適切な姿勢をとる練習をしてみましょう。

 

デスクワーク時の姿勢チェックポイント

腰痛が起こりにくい座位姿勢は、骨盤がまっすぐに起きた状態で背中もまっすぐに伸びている姿勢(腰椎の生理的な前弯が保たれている姿勢)です。2)

 

デスクワーク時の姿勢が次のような姿勢になっていないかチェックしてみましょう。(図1参照)

・猫背:背中が丸まっていて、腰痛のある人に多くみられる姿勢

・反り腰:腰が前に倒れて過剰に反っている姿勢

・仙骨座り:骨盤が後ろに倒れてお尻が前にすべっている姿勢

 

どれかに当てまった方は、腰痛が起こりやすい姿勢になっています。

適切な姿勢保持の練習をして、腰に負担がかかりにくい姿勢を習慣づけていきましょう。

 

★適切な姿勢保持の練習

適切な姿勢は、猫背と反り腰の中間です。

骨盤から背中が一直線になり、腹筋に自然に力が入る位置で姿勢10秒間保持しましょう。これを5回繰り返します。 

 

実際のデスクワーク時の理想の座位姿勢はこちらでチェック

姿勢チェック

図1 椅子に座ったときの姿勢

 

腰痛と筋トレの関係

骨盤がまっすぐに起きた姿勢を保つためには、腹筋・背筋ともに筋力が必要です。                                                       

研究でも、体幹筋量が少ないほど、主観的な腰痛の程度が悪化するという結果が得られており、体幹筋力が腰痛に関連することが報告されています。特に、多裂筋、腹横筋、内外腹斜筋などの体幹深部筋の筋力低下が腰痛に関連しているという報告が複数みられます。3),4)

 

また、股関節外転勤・内転筋・伸筋といった股関節周囲の筋力低下も腰痛と関連していることが報告されています。5),6),7)

 

体幹筋(腹筋・背筋、特に多裂筋・腹横筋・内外腹斜筋)、股関節外転筋(中臀筋)、股関節伸筋(大臀筋)、股関節内転筋の筋力強化が腰痛対策には必要だと言えるでしょう。

 

姿勢改善のためのストレッチはこちら

 

デスクワークによる腰痛を軽減するための筋トレ方法

デスクワーク腰痛2

腰痛対策に必要な、体幹筋、股関節外転筋、股関節伸筋、股関節内転筋を鍛える筋トレを紹介します。

 

①背筋の筋トレ


背筋を鍛えます。(図2参照)
1.椅子に座った状態で、両腕を肩の高さまで上げて、外に開き、肘は90度に曲げます。
2.背中を反らすように両腕を後ろに開きます。
3.背中を反らした状態で10カウントしてゆるめます。
4.3セット行います。

背中トレーニング

図2 背筋の筋トレ

②腹筋(多裂筋・腹横筋・内外腹斜筋)の筋トレ


お腹の周りを覆うコルセット筋とも呼ばれる腹横筋・多裂筋・内外腹斜筋を効率よく鍛えます。(図3参照)
1.椅子に座った状態で、体をやや後ろに倒して両足を上げます。このとき、腰を反らさないように注意します。
2.両足を上げた状態で5秒間キープし、足をおろします。
3.3セット行います。

腹筋トレーニング

図3腹筋(多裂筋・腹横筋・内外腹斜筋)の筋トレ

 

③大臀筋(大殿筋)筋トレ(ヒップリフト)                                                              

股関節伸展に働くお尻の筋肉である大臀筋を鍛えます。(図4参照)

1.仰向けに寝た姿勢で両膝を立てます。

2.片側の膝を伸ばした状態で、床面からお尻を持ち上げます。

3.お尻を上げた状態で5秒止まってから下ろします。

4.8~12回を2~4セット行います。                   

殿筋トレーニング

図4 大臀筋(大殿筋)の筋トレ

 

④中臀筋(中殿筋)の筋トレ(サイドレッグレイズ)                                                 

股関節外転筋である中殿筋を鍛えます。(図5参照)

1.横向きに寝た姿勢をとり、上にある足を膝を伸ばした状態で上に上げます。(下の足は軽く膝を曲げておきます)

2.8~12回を2~4セット行います。

3.反対の横向きの姿勢をとり、反対の足も同じように繰り返します。                               

中殿筋トレーニング

図5 中臀筋の筋トレ

 

⑤内転筋の筋トレ

股関節内転筋を鍛えます。(図6参照)

1.横向きに寝た姿勢をとり、上の膝を曲げます。

2.下にある足を膝を伸ばした状態で上に上げます。

2.8~12回を2~4セット行います。

3.反対の横向きの姿勢をとり、反対の足も同じように繰り返します。

内転筋トレーニング

図6 内転筋の筋トレ

 

腰痛対策に取り入れたい「ながら」筋トレ3選                                   

毎日仕事や家事などで忙しく過ごしていたり、精神的に余裕がなかったりすると、筋トレの時間を確保するのは難しい場合もあるでしょう。

 

そこで、日常生活の中で「家事をしながら」「動画を見ながら」「作業しながら」行える「ながら」筋トレの方法をお伝えします。

 

生活の中の動作の一部として、積極的に筋トレを意識していきましょう。

 

①椅子の立ち座りしながらスクワット


椅子に座る際に、さっと腰を下ろしてしまうのではなく、膝を少し曲げてお尻をやや落とした中間姿勢を意識することで臀筋や体幹筋を鍛えられます。
椅子の立ち座り時に、お尻やお腹に力が入るようにスクワットの動作を意識してみましょう。(図7参照)

 

椅子スクワット

図7 椅子の立ち座りしながらスクワット

 

②ドローインしながら歩行


おへその下をへこませた状態で呼吸を続けながら(ドローイン)歩くドローイン歩行では、腹横筋、多裂筋に加え、内外腹斜筋の筋力強化も期待できます。(図8参照)

おへその下をへこませる感覚がわかりにくい場合は、次の練習をしてみましょう。
・おへその下にビニールひもを巻き、ひもがきつくならないようにお腹をへこませ続ける
・床にあおむけに寝て、両膝を立てた状態で、両手をおへその下に当ててお腹がへこんだ状態で呼吸をし続ける。

インナーマッスルエクササイズ

図8 ドローインしながら歩行

 

③立ち作業をしながら内転筋・大臀筋(大殿筋)・中臀筋(中殿筋)の筋トレ

立って家事や作業をしながら行える股関節周囲の筋トレ3種類です。(図9参照)

①内転筋を鍛えます。

1.両足の膝の少し上部分にゴムボール(たたんだ厚めのバスタオル)を挟み、お尻に力を入れながらボールを5秒間挟みます。

2.力を緩めます。まっすぐな姿勢を保つようにしましょう。

3.8~12回を2~4セット行います。

 

②大臀筋を鍛えます。

1.膝を伸ばしたまま、片足を後ろに上げ、下ろします。

2.反対の足も同じように動かします。

3.ゆっくり8~12回、2~4セット行います。

 

②中臀筋を鍛えます。

1.膝を伸ばしたまま、片足を横に上げ、下ろします。

2.反対の足も同じように動かします。

3.ゆっくり8~12回、2~4セット行います。

腰痛ながらトレーニング

図9 立ち作業をしながら股関節周囲筋の筋トレ

 

日々の生活プラス筋トレで腰痛を軽減

デスクワークが続いて起こる腰痛は、姿勢の悪さや筋力不足が原因の一つとして考えられます。腰痛と関係の深い筋肉を鍛える筋トレを取り入れ、腰痛を予防・軽減しましょう。筋トレは、わずかな時間でも健康増進が期待できますが、普段の生活にプラスの負荷をかけて行うことが大切です。

腰痛になりにくいからだづくりのために、日々の生活の中に筋トレを意識して取り入れ、快適なデスクワークをめざしましょう。

 

治らない腰痛に必要な運動はこちらを参照

執筆者 作業療法士 丹野愛

作業療法士 丹野 愛

監修者 整形外科医師 森裕展

森整形外科リハビリクリニック森整形外科リハビリクリニック

参考URL

1)厚生労働省|社会福祉施設における安全衛生対策 腰痛 対策 · KY 活動

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/0911-2a.pdf

2)運動器の機能向上マニュアル(改訂版)平成21年3月

https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-1d.pdf

3)Yusuke Hori et al ISSLS PRIZE IN CLINICAL SCIENCE 2019: clinical importance of trunk muscle mass for low back pain, spinal balance, and quality of life-a multicenter cross-sectional study Eur Spine J 2019 28(5)p.914-921

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30729293/

4)佐藤正裕 腰部・体幹障害予防とアスレティックトレーニング 日本アスレティックトレーニング学会誌 2019 5(1)p.19-25

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsatj/5/1/5_19/_pdf

 

4)Markku Kankaanpää et al Back and hip extensor fatigability in chronic low back pain patients and controls Archives of Physical Medicine and Rehabilitation 1998 79(4)p.412-417

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0003999398901423

5)Sean Sadler et al Gluteus medius muscle function in people with and without low back pain: a systematic review BMC Musculoskeletal Disorders2019 20(463)

https://link.springer.com/article/10.1186/s12891-023-06920-x?fromPaywallRec=true

6)Nicholas A. Cooper et al Prevalence of gluteus medius weakness in people with chronic low back pain compared to healthy controls European Spine Journal 2016 25 p.1258-1265

https://link.springer.com/article/10.1007/s00586-015-4027-6

8)浜西千秋 腰痛性疾患にみられる「コルセット筋」の筋力低下と簡便な座位トレーニング 日本腰痛会誌2007 13(1)p.52 - 57

https://www.jstage.jst.go.jp/article/yotsu/13/1/13_1_52/_pdf

9)厚生労働省 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001171393.pdf